Spanning Tree プロトコルの基礎と仕組み
Spanning Tree プロトコルの選び方
Spanning Tree アルゴリズムは、ネットワーク内の 1 台のスイッチを「Root Bridge(ルートブリッジ)」として選出し、それを起点としてツリー状に経路を構成することで、ループを防止する仕組みです。ループとなるパスが検出されたポートはブロック状態になります。Spanning Tree プロトコルには STP、RSTP、MSTP の 3 種があり、互換性があります。
STP(Spanning Tree Protocol)
最も古い Spanning Tree プロトコルであり、現在は RSTP や MSTP に置き換えられています。最大 17 台までのスイッチを想定し、トポロジ変化時はタイマーにより収束を行うため収束時間に数分かかることもあります。現在では非推奨です。
RSTP(Rapid STP)
STP を高速化した規格です。タイマーではなくネゴシエーションによりTopology Changeを同期させ、収束時間を大幅短縮できます。最大 40 台のスイッチ構成に対応しています。
MSTP(Multiple STP)
RSTP を拡張し、複数インスタンスを同時に動作させ、VLAN ごとに異なるツリーを構成できます。これによりロードバランスが可能となります。Region 単位で 40 台までのスイッチ接続が可能で、最大 40 Region を構成できます。
Root Bridge と Backup Root Bridge
STP を構成するには Root Bridge と Backup Root Bridge(予備)を設定するのが推奨されます。トラフィックが集中するため、Root Bridge には高性能なスイッチ(多くは L3 スイッチ)をネットワーク中心に配置します。Root Bridge は Bridge ID (Bridge Priority+System ID+MAC Address)が最も低いスイッチに自動選出されます。Backup Root Bridge は次に低い Bridge Priority を持つスイッチが担当します。

ネットワークダイアメータ
STP・RSTP では「Max Age」をネットワーク直径(最長のカスケード接続数)に合わせて調整する必要があります。RSTP ではこの値が BPDU のホップ数制限として使用されます。Max Age は Root Bridge(および予備の Backup Root Bridge)で設定すればネットワーク全体へ反映されます。既定値は 20(6〜20 の範囲)です。
ポートロール(Port Roles)
RSTP トポロジでは各ポートは “Root Port”、“Designated Port”、“Alternate Port”、“Backup Port” の 4つの役割のいずれかを持ちます。
Root Port
Root Bridge へ最もコストの低いパスを持つポートです。スイッチごとに 1 つだけ存在します(Root Bridge を除く)。スイッチは Root Path Cost・Bridge ID・Port ID に基づいて Root Port を決定します。
| Link speed | Cost 値 |
| ≤100Kb/s | 200,000,000 |
| 1 Mb/s | 20,000,000 |
| 10 Mb/s | 2,000,000 |
| 100 Mb/s | 200,000 |
| 1 Gb/s | 20,000 |
| 10 Gb/s | 2,000 |
| 100 Gb/s | 200 |
| 1 Tb/s | 20 |
| 10 Tb/s | 2 |

Designated Port
リンク上でトラフィックを Forward(転送)できる唯一のポートです。Root Path Cost が低いスイッチ側のポートが Designated Port となります。
Alternate Port
バックアップ用の経路となるポート。ループ防止のため転送は行いません(Blocking 状態)。
Backup Port
同一スイッチ内で冗長接続されたポートのうち、Designated Port にならなかった側のポートです。
Path Cost / Port Priority
Path Cost はリンク速度により自動設定されます。ルート選定を調整したい場合は手動で Port Priority や Path Cost を変更することも可能です。

Point-to-Point Link / Edge Port
RSTP は Point-to-Point Link(全二重リンク)を高速収束の前提とします。古い STP と接続する可能性のある “Shared” ポートの場合は自動的に切り替わります。ホスト接続ポートは Edge Port として設定することで不要なトポロジ通知を抑えられます。





